院長ブログ

名古屋市中区で美容外科を経営する院長の本音。

2012年02月18日(土)

防衛的医療


米国の整形外科医のほとんどが、訴訟を避けるために本来必要のない「防衛的医療(defensive medicine)」を実施していることが全国的な調査によって示された。研究著者の1人である米バンダービルトVanderbilt大学メディカルセンター(テネシー州ナッシュビル)のManish Sethi博士は、「全米にわたり整形外科医は標準的な医療から離れ、訴訟を恐れて行動するようになっている」と指摘している。

米サンフランシスコで開催された米国整形外科学会(AAOS)年次集会で発表された今回の研究では、AAOS登録簿から無作為に選択した整形外科医2,000人を対象にウェブ調査を実施し、61%の回答が得られた。1,241人のうち96%が、主に医療過誤訴訟を避けるためにスキャン、臨床検査、専門医への紹介、入院などを指示する防衛的医療を実施したことがあると回答。平均すると、検査全体の24%が防衛を目的とするものであった。

米国医師会(AMA)の請求書コードを用いて費用を求めた結果、整形外科医は月に医療業務上の費用全体の約4分の1に当たる約8,500ドル(約66万円)を防衛的医療に費やしており、医師1人当たり年間平均約10万2,000ドル(約800万円)となることが判明。米国で開業する整形外科医は約2万400人いるため、合計すると月1億7,300万ドル(約135億円)、年20億ドル(約1,560億円)になる。不必要な費用をもたらす典型的な例としては、例えば軽度の外傷患者が、医師から必要ないと説明を受けてもMRIを要求してくる場合などがあるという。

AAOS医療責任委員会長のDouglas Lundy博士はこの問題について、「強いテクノロジー信仰があるため、それを使用しないとできることをしていないように見えてしまう。また、望むものは何でも好きなときにいくらでも手に入るという姿勢がわれわれの文化全体に根付いている」と指摘している。今回の研究ではさらに、回答者の70〜84%が、責任を回避するためにリスクの高い患者や処置を避けるなどの「負の防衛的医療」を行っていることも判明した。

「この問題を是正するには、医療的責任について国レベルの大規模な改革が必要である」とLundy氏はいう。一方、Sethi氏は「臨床業務ガイドラインによりさまざまな症状に対する治療手順を定め、そのガイドラインの範囲外の問題が患者に生じた場合は医師の責任を免除する」ことを提案している。同氏は「医師全体がこの問題に取り組み、できる限りコストを削減していく必要がある」と述べている。(HDニュースより)

訴訟大国アメリカらしいデータですが、日本にとっても決して対岸の火事ではありません。

こうした防衛的医療は、医師の中では潜在的に広がっています。

産婦人科医が減少しているのも、訴訟を恐れる防衛の一つと考えられています。

医療費の削減の為にはこうした問題にも目を向けて改革に取り組んでいく

必要があるのではないでしょうか?


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