2007年11月28日(水)
今日は最近話題のセルリバイブW-PRP(自己多血小板血漿)再生医療についてです。
まずPRP(Platelet Rich Plasma):自己多血小板血漿とは自己の血液から特殊なフィルター装置を用いた遠心分離により得られる血小板成分を豊富に含んだ血漿のことです。
血小板は血液成分の一種で、血液1μl内に20〜25万個含まれ、主に血液の凝固に関与しています。
血管の破損があると、血小板は化学的または機械的に刺激を受け破損部位に凝集し止血を行うと共に様々な成長因子を放出し組織の破損を修復します。
放出される成長因子には以下のよう作用があります。
PDGF 細胞増殖、血管新生、コラーゲン産生
VEGF 血管内皮細胞の増殖・新生
FGF 組織を修復、コラーゲン産生、ヒアルロン酸産生
EGF 上皮細胞の成長促進、血管新生、損傷治癒を促進
TGF-β 上皮細胞・血管内皮細胞の増殖・新生、損傷治癒を促進
これらの成長因子の働きを利用して行う治療がPRP療法です。
PRP療法は美容外科領域のみならず、歯科、心臓血管外科、皮膚科など多科にわたってその組織修復力、損傷治癒力が評価されています。
W-PRP療法はPRPに白血球を多く含んだ成分を使用し従来のPRP療法より一層効果の高い次世代のPRP療法です。
実際の治療の流れをご説明していきます。
まず患者さん本人の血液を採取します。約15cc程度の血液を特殊フィルター入りのスピッツ2本に採取します。
採血したスピッツを遠心分離機に装填し10分間回します。
分離終了後のスピッツです。上からPPP、PRP、フィルター、血球成分に分離されています。PPPとPRPは見た目の違いが分かりにくいですが上層の約3cc位がPPPです。
PPPには血小板成分は少ないのでシリンジで吸い取って破棄します。PPPを破棄せずにPRPと混ぜて注射すれば一見注入量は多く見えますが、実際に組織に作用する成長因子は薄まってしまい、効果が少なくなってしまいます。
PPPを取り除くと1本のスピッツで約1cc位のPRPが残ります。
次にPRPを塩化カルシウム入りのスピッツに移します。
この状態で約10分か放置してからシリンジに移し患者さんの治療部位に注射します。
患者さんには予め洗顔後、注入部位に麻酔シール(ペンレス)を貼っておきます。
極細の注射針にて治療部位の皮内、皮下にPRPを注射して終了です。
治療後は当日から洗顔、メイクは可能ですが、1〜2日は腫れ、発赤、熱感等が見られるので1〜2日はお休みがあると良いです。
W-PRP療法は基本的にはお顔のどの場所も出来ますが、特に効果的なのは目の下や目尻、鼻唇溝、マリオット(口角のシワ)です。
また、PRP療法は豊胸や顔の脂肪注入に取り入れる事で脂肪の生着率を高める効果もあります。