レーザー脱毛はレーザー光を照射することにより、表皮を損傷することなく毛包のみを選択的に破壊する脱毛法です
これは選択的光熱溶解の概念を基礎としており、1996年にGossmanによって初めて報告されました。
診療詳細
レーザー脱毛は毛包のどの部位に作用するのか?
右の図は分かりやすく毛包を書いたものです。毛包のうち毛母と毛隆起の細胞が毛を作っています。毛の色はメラノサイトが作るメラニン色素に種類や密度によって決まります。メラノサイトは毛母や毛隆起の細胞の周囲に存在し、メラニンを産生しています。レーザー光は毛包中のこれらのメラニンに吸収されます。レーザー光は吸収されると熱を発生します。その熱によって毛母、毛隆起の細胞が破壊され、毛が作られなくなります。
レーザー脱毛は毛周期のどの時期に有効に作用するのか?
レーザー脱毛は一度の照射ですべての毛根が破壊できるわけではありません。毛包には毛周期があります。毛周期によって毛包にメラニンが沢山作られている時期とそうでない時期かあります。毛周期は成長期、退行期、休止期の3期に分けられています。この中で特にメラニンが沢山作られているのが成長期の初期の頃で、丁度この周期にあたった毛包が破壊されます。それ以外の毛周期の毛包は破壊出来ない為、繰り返し定期的に行う必要があります。
安全性は?
表皮を傷つけることなく毛包のみを選択的に破壊することから、皮膚が正常な状態であり皮膚の色調に十分注意しつつ治療を行えば非常に安全な脱毛法です。
医療レーザー脱毛は皮膚レーザー治療の一環であり、医療機関でのみ治療が可能です。医療機関でも必ず医師の診察によりレーザーの種類、スポットサイズ、パルス幅、照射出力を決定し、医師もしくは看護師による照射が義務づけられています。
通常のクリニックではこうした安全性に重点を置いた治療が行われておりますが、近年、医師の診察もなく、また看護師でない医療資格のないエステシャン等にレーザー照射をまかせるなど、安全性を度外視したクリニック(?)の治療が皮膚トラブルを続発させ社会的な問題となっております。
治療時間と治療回数は?
従来の針脱毛と比べ従来の針脱毛と比べ一度に広範囲を短時間で処置することが可能です。治療時間は面積や部位、剃毛の有る無しでも異なりますが、例えば両足膝下全周で約30分、両ワキで5分位医で終了します。
治療の平均回数は部位や個人差もありますが、女性のワキでは5~7回程度で十分(90%の減少)な脱毛効果が得られる事が多いです。
効きやすい人(部位)、効きにくい人(部位)は?
レーザー脱毛には効きやすい人、効きにくい人、効きやすい部位、効きにくい部位があります。これには様々な条件が影響しますが、特に大きく影響するのはが次の4つの条件です。
- 肌の色
肌の色が白い人(部位)ほど効果が出やすく、黒い人(部位)ほど効果が出にくく回数が掛かり易いです。これは肌の色が黒い人(部位)は皮膚表面のメラニン色素が多い為、レーザーが皮膚表面で吸収され、毛包まで届きにくい事と、皮膚表面でも熱が発生し易くなり、火傷などのトラブルが出やすい為、レーザーの出力(エネルギー量)を白い人(部位)より弱く照射しないといけない為です。
※色黒の人(部位)には皮膚表面で吸収されにくいロングパルスヤグレーザーが有効です。
- 毛の太さ
毛は太い方が効きます。これは太い毛の毛包ほどメラニン色素が沢山作られているために、レーザー光が吸収されやすく、熱も発生し易い為です。産毛はメラニン色素が少ない為効果が出にくいです。
- 毛の色
毛の色は黒々としていた方が効果が出やすいです。これも黒々とした毛の毛包ほどメラニン色素が沢山作られているために、レーザー光が吸収されやすく、熱も発生し易い為です。白髪はメラニン色素が少ない為効果が出にくいです。
- 毛根の深さ
毛根深さは皮膚の厚さに比例します。皮膚が厚い人(部位)はレーザー光が届きにくく効果が出にくいです。また、硬毛化の発生率が高くなります。
※皮膚が厚い人(部位)には通常の脱毛レーザーの倍以上の深さまでレーザー光が到達するロングパルスヤグレーザーが有効です。
当院のレーザー機器は?
現在、脱毛用レーザーとしてアメリカFDA(日本の厚生省にあたる機関)に認可されているレーザーにはロングパルスヤグレーザー、フラッシュランプ、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、ダイオードレーザーなどがあります。このうち世界で最も広く用いられているのはアレキサンドライトレーザーです。本邦では日本人に対しても安全に使用でき治療効果も高いことからレーザー脱毛が導入されるきっかけとなった機種としてロングパルスアレキサンドライトレーザーが現在のところ最も普及しています。近年ではパルス幅の短いアレキサンドライトレーザーやダイオードレーザー、RF脱毛機等も導入されていますが、当院ではキャンデラ社(米国)のGentleMAXProを導入しております。
GentleMAXProはGentleLASE(ロングパルスアレキサンドライトレーザー)とGentleYAG(ロングパルスヤグレーザー)の2機種を搭載し2種類のレーザーが照射できる最新の脱毛機器です。ロングパルスアレキサンドライトレーザーはメラニン吸収率が高く、ロングパルスヤグレーザーは皮膚深達性に優れています。皮膚や毛の状態に合わせて2種類のレーザーを使用する事で完成度の高いレーザー脱毛が可能となります。
- ロングパルスアレキサンドライトレーザーの特徴
波長は755nm
皮膚の色の白い部位に効きやすい
太い毛に効きやすい
皮膚の薄い部位(毛根が浅い)に効きやすい
- ロングパルスヤグレーザーの特徴
波長は1064nm
皮膚の色の濃い部位でも効果が出やすい
産毛でも効果が出やすい
皮膚の厚い部位(毛根が深い)でも効果が出やすい
硬毛化が起きにくい
ダイナミッククーリングデバイス(DCD)
レーザー照射直前に冷却ガスを噴射して皮下1mmまでを冷やし、表皮を熱損傷から守り痛みを抑えます。冷却ジェルが不要で衛生的です
レーザー脱毛治療に際して注意の必要な方
- 強い日焼けをしている方
- 多毛症を呈する種々の疾患や内分泌障害のある方
- 自己免疫疾患の方
- 出血性疾患の方
- ケロイド体質の方
- 毛の成長を促進する薬を内服している方 (ステロイドなど)
レーザー脱毛治療のできない方
- 光線感受性の強い方(日光過敏症など)
- 金製剤を内服している方(リウマチの薬)
- 金の糸を入れている部位
- 悪性腫瘍のある方
- HIV陽性の方
- 心疾患の方
- 妊婦
脱毛治療前の準備
治療前日に脱毛部の毛を剃毛して下さい。剃毛がしっかり出来ていないと火傷を起こす危険性や、レーザー機器の故障の原因になるため、当日看護師による剃毛(有料)が必要となってしまいます。
有料の剃毛を拒否されると処置は延期となります。ご自身での剃毛が困難部位(うなじ、背部、腰部、臀部、Oライン)は有料にて看護師が剃毛致します。
脱毛治療中の注意点
除毛ワックス、毛抜きは使用禁止
抜いてしまうと毛包のメラニンも一緒に取れてしまいレーザーが効かなくなってしまいます。
脱毛部の日焼け禁止
皮膚の色調が濃ければ濃いほど脱毛効果が低下すると同時に、皮膚にダメージが生じる可能性が高くなります。元々色黒の方や、アトピー肌の方、日焼けをしている方には通常より弱いレーザー出力で治療を行い、皮膚にダメージが出ないようにしますが、治療期間は長くなってしまいます。また、低出力で行っても稀にレーザーの当たった部分に色素沈着が出来たり、逆に色が抜けて白っぽくなる色素脱が出現することがあります。また、肌の状態により、まだらに脱毛効果が出現することもあります。
レーザー照射後の経過
毛包に一致した赤みやかゆみが見られることがあります。通常は2~3日以内で落ち着きます。稀に1週間以上、赤みやかゆみが続いたり、瘡蓋が出来る事があります。これは皮膚に対してレーザーが強すぎる症状ですので、次の来院時に医師にご相談下さい。瘡蓋が出来た場合は自然になくなりますので無理に剥がさないようにして下さい。かゆみが強い場合も医師にご相談下さい。
硬毛化について
硬毛化とはレーザー脱毛を施術した事により、軟毛や産毛が太くなったり、長くなる現象のことです。米国皮膚科学会誌掲載の論文には4.5%の患者に硬毛化が確認されたと報告されています。当院でもうなじや背部で硬毛化を起こした患者様もいらっしゃいました。
硬毛化は主にうなじ、肩、背部、腰部、上腕、顔面、頸部にみられる事があります。これらの部位は比較的皮膚の厚い部位で毛根が他の部位と比べ深いために、レーザー光がしっかりと毛根に届かず、毛根の破壊が不完全となり、却って毛母細胞を刺激して発毛を促進してしまうと考えています。硬毛化を起こしにくいレーザーとして今ロングパルスヤグレーザーが注目されています。
アフターケア
当院ではお電話による受付を行っておりますので、なにか不安を感じても対応いたしますので安心です。
施術スケジュール
1 | 手術当日 | 洗顔、入浴、フルメイク、シャワー |
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2 | 6週間後~ | 次回のレーザー脱毛が施術可能です。 |