院長ブログ

名古屋市中区で美容外科を経営する院長の本音。

今日はダイエットピル(ダイエット薬品)について書きます。

ここ数年、国内未承認のダイエット薬品の個人輸入が激増しています。それと共に、いくつかの問題も起きているようです。
薬事法違反の仲介業者や悪質な偽物販売の業者などもあると聞きます。そういった業者のために折角の有効な薬が、何か怪しい薬の様に誤解されてしまいます。
もう一つ困ったことは、個人輸入した人のほとんどは、医師の診察なく自己判断で使用していることです。
当院でも何名か個人輸入で使用している方を診察したことがあります。
効果が全く現れていないのに漫然と使用している方、
BMI35以下で使用している方、
栄養失調になっている方、
過食症の治療として使っている方
など、かなり危険な使用状況と思われる方を目にします。
こういった状態は厚生労働省も把握していると思います。
いずれはダイエットピルだけでなく医薬品全体の個人輸入にも今以上に厳しい規制がかかってしまい、結局、国内未承認薬を本当に必要としている患者さんにまで制限が加わり、不便になってしまうのでは、と危惧しております。

一般的なダイエットピルを2つ紹介します。

ゼニカル(XENICAL)
スイス・ロシュ社と英国・グラクソ・スミスクライン社が共同で開発した、ダイエット薬です。

効能  
摂取した食べ物の脂肪分の吸収を30%程度カットする
作用機序 
ゼニカルはリパーゼ阻害酵素です。つまりリパーゼとうゆうものの働きを悪くさせる薬です。
では、リパーゼはどんな働きがあるのでしょう。
リパーゼとは胃液や膵液に含まれています、食物を食べると胃液、膵液が分泌されます。リパーゼは胃や腸で食物中の脂肪(トリグリセリド)に働きかけ脂肪を脂肪酸やモノグリセリドに分解します。(脂肪酸が沢山集まった固まりが脂肪です。)ゼニカルはこの働きを悪くさせます。つまり脂肪を分解できなくするのです。脂肪は脂肪酸やモノグリセリドに分解されないと腸管から体内に吸収されません。とゆうことは脂肪が吸収されにくくなるとゆうことです。
適応 
食事療法や運動療法で効果が不十分な高度肥満症
BMI 30以上の方
 BMI(Body Mass Index)=体重(kg)/身長(m)の2乗

用法
1日3回 食事中に1回1錠内服(食間ではなく食事をしている間に飲みます。)
   脂肪分が少ない食事の時は服用しなくても良いです。

副作用 
脂肪便(油性便) 便通過多 下痢 腹部膨満感 放屁 

注意
ベータカロチンやビタミンEといった脂肪に溶けやすい栄養素の吸収も阻害してしまうので、果物や野菜を多く含む食生活を心がけてください。

使用禁止  
糖尿病患者 精神病の既往 てんかん 高齢者 妊産婦、授乳婦 小児 

 


ゼニカル

ゼニカル


サノレックス(Sanorex,マジンドール錠)

効果 
食欲に関わる神経に働き、食欲を押さえます
適応 
食事療法 運動療法で効果が不十分な高度肥満症
BMI 35以上の方
BMI(Body Mass Index)=体重(kg)/身長(m)の2乗

用法 
食事療法や運動療法の補助として1日1回 昼食前に1錠内服する。 

注意  
注意力が低下することがあるので自動車等の運転や危険な機械の操縦は控える様にする。
1ヶ月の服用で効果が認められない場合は服用を中止する。
使用期間は3ヶ月を限度とする。

副作用  
口の渇き 吐き気 便秘 不眠 脱力感 血圧変動 めまい 頭痛 動悸 尿が出にくい

長期間服用後に内服を中止して現れる副作用(依存症)
 イライラ 不安感 不眠 ふるえ 痙攣 混乱 幻覚(徐々に減量すれば大丈夫)

肺高血圧症の症状  
 息苦しい 息切れ、 胸の痛み、 気を失う

使用禁止  
糖尿病患者 精神病の既往 てんかん 高齢者 妊産婦、授乳婦 小児 

併用禁止薬剤 
MAO阻害剤 昇圧剤 降圧剤 インスリン アルコール(飲酒) ハロタン 中枢神経刺激剤(アマンタジン) 甲状腺ホルモン 

注:サノレックスは国内未承認ではありません。


サノレックス

サノレックス


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